みみはなのどクリニックもも

TEL:022-796-0188休診日:水・日曜、祝日

中耳炎外来について

当院では一般的な耳鼻咽喉科診療のほか、特殊外来として中耳炎の治療にも力をいれています。
中耳炎外来では細菌検査の結果に基づく抗菌薬の適正選択による加療を行います。
また外科的な治療として重症例への鼓膜切開術や鼓膜換気チューブ留置術も0歳児から可能です。
中耳炎外来は一般診療と並行しておこなっており、診療日・受付時間は一般診療と同じです。
中耳炎外来用の問診票があるので、受付にて中耳炎外来ご希望であることをお伝え下さい。
中耳炎に関するご相談があればどうぞお気軽にお尋ね下さい。

1:中耳炎とは?
2:中耳炎の原因は?
3:どうして小児は中耳炎を繰り返しやすいのでしょうか?
4:赤ちゃんの中耳炎に気づいてあげるために大切なこと
5:中耳炎の治療法について
6:鼓膜切開術について
7:鼓膜換気チューブ留置術について
8:中耳炎でよくあるご質問

1:中耳炎とは?

「中耳炎」は大きく分けて「急性中耳炎」と「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」に分けられます。

[急性中耳炎]

細菌などが鼓膜の奥の「中耳」と呼ばれる部位に感染して起きるものです。急性中耳炎は鼓膜が腫れて耳が痛くなり、熱が出ます。また鼓膜の腫れが悪化すると鼓膜が破れて耳だれがでます。
急性中耳炎を6ヶ月で3回以上、または1年に4回以上繰り返す場合は「反復性中耳炎」と呼ばれます。小児は反復性中耳炎になりやすいと言われています。

[滲出性中耳炎]

中耳に滲出液とよばれる液体がたまった状態です。
痛みや発熱はありませんが、耳に水が詰まったような聞こえにくさを感じることが有ります。
急性中耳炎になる前後に滲出性中耳炎になることもあります。

2:中耳炎の原因は?

鼓膜の奥の中耳は「耳管(じかん)」と呼ばれる管で上咽頭(鼻の奥)とつながっています。
耳管には中耳を換気する機能があります。
小児や高齢者では耳管の機能が弱いために中耳の換気がうまくいかず、膿や滲出液が中耳に溜まりやすく、中耳炎になりやすいと言われています。
また、急性中耳炎の原因となる細菌はこの耳管を通って鼻の奥から中耳に侵入します。
そのため、鼻汁やノドの細菌が耳管を通って中耳に侵入して急性中耳炎になりやすいと言われています。

3:どうして小児は中耳炎を繰り返しやすいのでしょうか?

  1. 小児は耳管が太く・短く・水平
    小児は顔が小さいため中耳と鼻の奥の距離が近く、耳管が大人よりも太く・短く・水平であるため、細菌が耳管を通って中耳に侵入しやすくなっています。
  2. 免疫力が未熟
    IgG2抗体と呼ばれる細菌に対する免疫の物質が2歳までは少ないため、小児は鼻汁を繰り返しやすいため、中耳炎を繰り返しやすいです。
  3. 集団保育(保育園や幼稚園など)
    集団保育では多くのほかのお子様と接する機会が増えます。そのため、お互いの細菌を受け渡す機会が増えるため鼻汁を繰り返し、中耳炎も繰り返しやすいです。

4:赤ちゃんの中耳炎に気づいてあげるために大切なこと

中耳炎は小児によくみられる病気ですが、まだ言葉をしゃべることができない乳幼児は自分で「耳が痛い」とは言えません。
①熱が何日も下がらない
②発熱を繰り返す
③耳を気にして触る
④不機嫌で泣き続ける
など、お子様の急性中耳炎の兆候に気づいてあげることが大切です。

5:中耳炎の治療法について

[急性中耳炎の治療]
鼓膜の状態などから重症度を判定して治療方針を決めます。

  1. 対症薬投与(鼻汁のお薬や痛み止めなど)
    対症薬で鼻汁の加療などを行います。軽症例は対症薬で治癒する場合もあります。
  2. 抗菌薬投与
    中等症・重症の場合は抗菌薬を投与します。当院では積極的に細菌検査を行い、検出された細菌の種類に応じて適切な抗菌薬を選択して処方しています。
  3. 外科的治療(鼓膜切開術)
    局所麻酔で鼓膜を切開して溜まっている膿を排出します。鼓膜切開術は外来で可能な処置です。

[反復性中耳炎の治療]
急性中耳炎を反復し、反復性中耳炎になる場合には鼓膜換気チューブ留置術を行います。
鼓膜換気チューブ留置術は外来で行うことができます。

[滲出性中耳炎の治療]
鼻汁の内服加療、耳管から中耳に空気を通す処置などを行うことで中耳の滲出液の排出を促します。
難治である場合には鼓膜切開術で滲出液の排出を考慮します。

鼓膜切開術を行っても再発する場合には鼓膜換気チューブ留置術を行います。

6:鼓膜切開術について

鼓膜切開術は鼓膜を数mm切開して中耳の膿や滲出液を排出する処置です。
外来で行うことが可能で、局所麻酔で行うことができます。

*鼓膜切開術の方法

  1. 麻酔液を浸した綿を鼓膜にのせて鼓膜に麻酔を染み込ませます。(所要時間10-15分)
  2. 麻酔の綿を取り出して、顕微鏡で見ながら1.5mmほどの大きさの鼓膜切開刀で鼓膜を切開します。(所要時間1-2分)
  3. 切開した穴から鼓膜の奥に溜まっている膿や滲出液を吸い出します。

*鼓膜切開術の効果

・急性中耳炎では発熱や痛みの改善が期待されます。

・急性中耳炎の場合、耳だれ(膿)が数日から1週間ほど出てきます。

・滲出性中耳炎では滲出液が排出されることで聴こえが良くなります。

・鼓膜の穴が閉じるまでは中耳が持続的に換気されて膿や滲出液が溜まりにくくなり、中耳炎が再発しにくくなります。(鼓膜の穴は数日から数ヶ月で自然閉鎖することが多いです)

7:鼓膜換気チューブ留置術について

反復性中耳炎や、難治性の滲出性中耳炎に対する治療です。
鼓膜に留置したチューブで中耳が継続的に換気され、膿や滲出液が溜まらなくなり、中耳炎になりにくくなります。

当院では外来で日帰り局所麻酔での鼓膜換気チューブ留置術を行っており、0歳のお子様から可能です。
チューブは病状や年齢などに応じて数週間から2年程度で抜去します。
*鼓膜換気チューブ留置術の方法

  1. 麻酔液を浸した綿を鼓膜にのせて鼓膜に麻酔を染み込ませます。(所要時間10-15分)
  2. 麻酔の綿を取り出して、顕微鏡で見ながら1.5mmほどの大きさの鼓膜切開刀で鼓膜を切開します。(所要時間1-2分)
  3. 顕微鏡で見ながら切開した鼓膜の穴に鼓膜換気チューブを留置します。(所要時間1-2分)

8:中耳炎でよくあるご質問

Q1.耳に水が入ると中耳炎になりますか?
A.中耳炎が起きる「中耳」は鼓膜の奥です。鼓膜があるので耳の穴から中耳に水がはいって炎症を起こすことはありません。
ただし、鼓膜に穴があって不衛生な水が耳にはいった場合には中耳が炎症を起こす可能性はあります。
Q2.中耳炎は他の人にうつりますか?
A.中耳炎が他の人に直接うつって中耳炎を起こすことはありません。
Q3.中耳炎の予防で大切なことは何ですか?
A.まず中耳炎の原因になる鼻汁を予防することが大切です。うがい、手洗い、マスクの着用など、一般的な予防を行って下さい。
また、鼻水をすすると中耳炎になりやすいため、鼻をよくかんで出すようにしてください。鼻をかむのが上手にできない年齢のお子様は保護者の方が鼻水をよくとってあげるようにしてあげてください。
Q4.鼓膜切開によって聞こえが悪くなることはありませんか?
A.切開した鼓膜の穴は自然閉鎖する場合が多く、穴が残った場合でも小さな穴であれば大きく聴力が低下することは稀です。また、穴が残った場合には穴を閉鎖する処置もあります。ただし、お子様の場合は幼少時には正確な聴力の評価が難しいため、鼓膜切開とは関連のない先天的な難聴などが、成長してから判明する可能性はあります。
Q5.鼓膜切開後の出血や耳だれは綿棒で掃除したほうが良いですか?
A.鼓膜切開の後はしばらく耳から血液が滲みますが、徐々に止血します。膿が溜まっていた場合、膿が耳だれとして数日から1週間ほどかけて出てきます。耳だれは外にたれてくるものを拭き取るくらいで良いです。耳内の清掃は通院の際に耳鼻科で行いますので、綿棒で耳の奥まで掃除する必要はありません。
Q6.鼓膜切開の後や鼓膜換気チューブを留置している時にお風呂に入っても大丈夫ですか?
A.お風呂は通常と同じようにはいって良いです。日本の水道水は浄水処理がされているので、水道水が耳にはいっても大きな問題となることは少ないです。
ただし、プールや海や川で潜るような時には念のために耳栓をすることを当院では推奨しています。(保育園や幼稚園での水遊び程度であれば耳栓は不要です。)
Q7.鼓膜換気チューブはどのように抜去しますか?
A.チューブを抜去する際には外来で行います。耳垢を除去するようにチューブの端を道具で持って抜去します。
Q8.中耳炎の後に鼓膜に穴が残った場合にはどのようにしますか?
A.中耳炎が重症化して鼓膜が破れてしまった場合や、鼓膜切開のあとや鼓膜チューブを抜去したあとにも一定の確率で鼓膜に穴が残ることがあります。その場合は鼓膜の穴を閉鎖する処置があります。(鼓膜形成術や鼓室形成術と呼ばれます)
ただし、あまり早い時期に鼓膜の穴を閉鎖した場合には再度中耳炎になって鼓膜切開や鼓膜換気チューブの再留置が必要となることもあるので、閉鎖の時期などについては患者様の病状にあわせてご相談します。

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